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『二つのまなざし』
ラファエル 松本武三 神父
① 幼子キリストを抱いて、最高の幸せを知る老シメオンのまなざし。 「主よ、今こそあなたはお言葉どおり、この僕を安らかに去らせてくださいます。
わたしはこの目であなたの救いを見たからです。」(ルカ2・29)
すべての人の模範です。教会は、毎日、寝る前の祈りに、このシメオンの賛歌を捧げます。

②弟子のイスカリオテのユダが、主キリストを裏切る、偽りの愛のまなざし。 「前もって「わたしが接吻するのが、その人だ。それを捕まえろ」と、合図を決めていたユダは、
イエスに近寄り、「先生、今晩は」と言って接吻した。」(マタイ26・48~49)
何と悲しい出会いでしょう。
銀貨30枚をもらって、何食わぬ顔をして、イエスに近寄るいユダのまなざしと、すべてを知りながら迎えるイエスの澄んだまなざし。
この2枚の絵画のまなざしは、私たちの生活の二つの姿です。