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見えない糸でつながっている人々の絆
ダニエル 李 昇倫 神父
 日本に来て1年ほど経ったある日、韓国のある病院から電話が来ました。
健康診断を受ける年だったので、その話かと思ったら普段あんまり耳にしない慣れない言葉と内容でした。 向こうからの電話の内容は、「造血幹細胞寄贈」に署名したことがあるかの確認でした。 どういうことかと思ったら、20年以上前、神学生時代に、献血車が学校に来て献血をした時、臓器提供と造血幹細胞寄贈のドナー登録をしたことを思い出しました。
その時は、確率的にドナー(提供者)とレシピエント(移植希望者)の遺伝子情報が合うのは非常に難しいという説明に、 深く考えず提供に署名し、その後忘れていたのですが、20年が過ぎて遺伝子情報が合う患者が現れたとのことでした。 8項目の遺伝子情報の中で5項目が一致しているので、精密検査を行う意思があるかと聞かれました。 日本にいる私がどうしたら力になれるかと尋ねたら、日本の病院で精密検査を受けて、その結果を見てからその次を決めると言われました。
   数週間が経って精密検査の結果、8つの遺伝子のうち7つが一致しました。家族でも一致しない遺伝子が顔を見たこともない赤の他人と一致することがあるということでした。 一人の命を救える大切な機会なので提供を承諾し、日本に来て一年しか経ってなかった私は、まったく知らない誰かの命を救うために急いで韓国へ行きました。
 私たちは今、コロナパンデミックの時代を生きています。その中で、私たちはお互いにどれだけ緊密につながり接触しながら生きているのかを、 これまでよりも生々しく目撃し、経験することになりました。
 私たちは神秘的につながっています。何よりも私たちは信仰で互いにつながっています。 今私の隣にいる人が、あるいはこの世で私を知らない誰かが、私の祈りを通して贈る信仰の造血幹細胞を受けとることができます。 自分だけの救いではなく、私の小さな祈りで誰かの命を救うことができることを決して忘れてはなりません。
 私と見えない糸でつながってはいるものの、まだお互いを知らない誰かのために、少しの時間を費やしてみましょう。難しい祈りでなくてもいいのです。 ただ、誰かの役に立ちたいという気持ちで、父である神に祈りましょう。その願いが、ダビデからイエス様に至るまで、 数多くのつながりと接触によって救いの道に導かれたように、私たち各自の存在もそのように神秘的につながっています。
 イエス様の祈りのおかげで私たちが今、救いへの道の途上にいることを思い起こし、名前も知らない亡くなったすべての煉獄の霊魂のために、少しでも祈る時間を持ちましょう。
 あなたがいてこそ私がいるし、私がいてこそあなたがいるのです。