「バッタの教え」
アウグスチノ 川邨 裕明 神父
援助マリア会の修道院でミサを捧げた後、朝食の席でいただいた話を分かち合います。
「バッタの教え」
ある町に一匹のバッタがいました。
名前を「行き当たりバッタ」と言いました。
毎日、そのバッタは、気ままに生きていました。
ある日、気が付くと、体中にシミが出ていました。
お医者様は、「苦シミ」と「悲シミ」のシミだと言いました。
「果物を食べなさい。」と言われ、柿を食べました。
しかし、治りません。
お医者様は、「あなたが食べた柿の名前が悪い。」と言いました。
それは、「モガキ」と「アガキ」と言う柿だと言うのです。
「どうすれば良いか。」と尋ねると、
「この裏の崖を登りなさい。」と言われました。
その崖の名前は、「命崖」と言います。
苦労して、やっとの思いで登ると、
素晴らしい景色が見えて、気持ちが爽やかになりました。
すると、不思議にその時から、体のシミがすーっと消えました。
そのバッタの名前は、「ガンバッタ」と言う名前に変わりました。
洒落のきいた良い話ですね。人生には三つの坂があり、それは「上り坂」と「下り坂」そして、「まさか」だそうです。
山登り、私はしませんが、ハイキング程度のことはしたことがあります。登坂では足元だけを見て懸命に歩きます。ときどき目を挙げても、見るのは前方の道ばかりです。
「まだまだ上りが続くなぁ」くらいしか感じません。ようやく頂上について、眺望が開け景色に目を奪われます。
そして下り、足元に気を取られながらも景色に目をやる余裕が持てていると思います。
人生も同じで、若い時よりは年を取ってくだり坂に差し掛かった時の方がいろいろなことが観えてくるのではないでしょうか。
その時、あなたのそばで一緒に歩んでくれているイエスを見出すなら、そこに喜びがあふれることでしょう。