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2020年7月05日A年 年間第14主日 「ミサのメッセージ」
アウグスチノ 川邨 裕明神父
 「バスの中で咳をしている人がいる」「外で手をつないでいるカップルがいる」新型コロナウイルス感染症の感染拡大が深刻になる中で、 政府による緊急事態宣言が出た頃に、警察に寄せられた110番通報の実例です。
 街を回って、飲食店が午後8時に閉店しているかどうかチェックする集団が現れました。 遅くまで営業している店を見つけると、「時間を守れ」と店に電話します。 さらに「なぜ、閉店時刻を守らないのか、ルールが守られないなら休業しろ」と張り紙を張られた店もありました。 警察には取り締まれとの電話がたくさん入りました。
 県外ナンバーの車に、「すぐに出ていけ」や「コロナをまき散らすな」と張り紙される事件が起きました。 仕事なので東京から異動してきた人に、差別的な振る舞いをする人がでてきました。
 病院に勤務する看護師(女性)の夫は、会社から「奥さんが看護師をやめないのなら、あなたは会社を辞めてください」と言われたそうです。 また、看護師の子どもが保育園に行くのを断られたり、妊娠している看護師がほかの病院での診察を断られたりすることもありました。
 このような状況を「コロナハラスメント」と呼びます。 このようなコロナハラスメントが起きるのはなぜでしょうか?様々な理由が考えられています。 例えば、政府という大きな権力に従うことで、自分も小さな権力者になり、正義の力を使うことに魅力を感じていたのかもしれません。 政府という権威に協力するという正義感のもとで、権威に従わない人を攻撃することで喜びを感じていたと考えられます。 あるいは、自分はやりたいことを我慢しているのに、我慢していないように見える人への嫉妬心が、懲らしめてやろうという感情を生んだのかもしれません。
 イエスの時代、イエスと対立した人々の中にファリサイ派と呼ばれる人たちがいました。 彼らは、十戒や律法を厳しく守っていましたし、人々にも守るように要求していました。 ファリサイという言葉の意味は、「分離する」です。 すなわち、律法を守れるかどうかで人を分けて、守れない人たちに「お前たちは律法が守れないから、神様から見捨てられ救われることがない」と宣言していました。
 ファリサイ派の人々には、コロナハラスメントをしていた人に共通する部分があるのではないでしょうか。 神様の権威のもとで小さな権力者となって、律法を守れない人を責めたり、自分が律法をまじめに守っているので、 律法に関係なく自由にふるまっている人に嫉妬心を抱いて激しい攻撃を加えたりしたのかもしれません。
 イエスは、律法を守ることのできない弱い立場の人々のところへ行き、「あなた方の重荷を私も担うよ」と語りかけたのでした。 イエスは命をかけて、生活のために律法を破らざるを得ない人たちを守ると宣言されたのです。 コロナ時代を生きる私たちも「重荷を負う者は、わたしのもとに来なさい」と言われたイエスの言葉の意味を、深く味わいたいと思います。