創世記、天地創造の初め「光あれ」の言葉をもって神は天地創造を始められました。
ヨハネ福音書では、「初めに言(ことば)があった。言は神と共にあった。
言は神であった」と神の言葉による再創造を記しています。
預言者イザヤは、天から降った雨や雪が大地を潤し自然からの恵みを与えるように、神の言葉も神の望みを成し遂げ、使命を果たすと語ります。
このように聖書では、神の言葉は私たちの現実に働きかけ、私たちの現実を変える力があると繰り返し語られているのです。
神の言葉ほどではないにしろ、人間の言葉にも力があると感じた事件が最近もありました。
木村花さんが命を絶った事件です。木村花さんは、公募で集められた男女6人が共同生活を送る様子を撮影した「テラスハウス」という人気番組に出演していました。
スタッフからの過剰な演出があったともいわれていますが、
彼女の言動がソーシャルネットワーキングサービス(ツイッターやフェイスブックなどのインターネットを介したコミュニケーションツール)で炎上と言いますが、
集中攻撃に遭いました。一人や二人からの罵詈雑言なら耐えられたかもしれませんが、
数百にのぼる投書は若い木村花さんの生きる意志を打ち砕いてしまったのではないでしょうか。
言葉のもつ破壊力のすさまじさです。
少し前なら、テレビの前でぶつぶつつぶやくだけで決して本人に届くはずのない言葉が、
インターネットを通じて本人に直接届いてしまうのです。
同じような視聴者参加型の番組で自殺者が出る悲劇が、世界中で繰り返されているのです。
私が応援している夫婦デュオ「ちむぐくる」に「言葉」という曲があります。その一節を。
優しい言葉は太陽のように、冷え切った心を温める
厳しい言葉は海のように、揺らいだ心を落ち着かせる
あなたの言葉に励まされ、あなたの言葉に涙する。
あなたの心を真っすぐに、伝える勇気が言葉になる。
人の言葉のもつ温かさ、人を生かす力を見事に歌いあげています。
イエス様はガリラヤ湖畔に集まった人々に対して、神の言葉について語られました。
たとえを用いて語られたイエス様の言葉は、その後で弟子たちが解説を求めたように、人々には理解することが難しかったかもしれません。
しかし、イエス様の言葉を真剣に求めて、一言も聞き逃すまいと聞き入っていた人には届いたことでしょう。
イエス様は神の言葉です。イエス様は神の言葉をまく人です。どんな所でも、誰に対しても神の言葉を語り続けます。
理解できるか、受け入れるかなど関係なく語り続けられます。イエス様が来られる前の人々には、望んでも決して得ることができなかった言葉です。
人間の言葉には、人を殺す毒が含まれています。
しかし、神の言葉には人を生かす力しかありません。それは神が人間を愛していて、生きてほしいと願うからです。
その言葉は、世界中に今も溢れています。それをどのように聞くのか?私たちは問われています。