2020年8月16日A年 年間第20主日 「ミサのメッセージ」
アウグスチノ 川邨 裕明神父
イエス様はカナンの女に「あなたの信仰は立派だ」と声をかけられました。イエス様はカナンの女のどこを見て、信仰をほめられたのでしょうか?
カナン人はイスラエルと約束の地を争う永遠のライバルでした。カナン人は農耕文化と都市文化を発達させ、多神教的な宗教を持っていました。
ダビデ王がカナン人の街をすべて支配下に置いてから、イスラエルはカナンの影響を強く受けはじめ、カナン人の宗教や生活習慣と戦わなければならなかったのです。
イスラエルと敵対する異邦人であるカナン人の女が、イエス様をダビデの子、救い主と認めることなどありえなかったのです。
そのカナンの女がイエス様を全面的に信頼して、救いを求めたのです。よほどの事情があったのでしょう。
イエス様は出会いの時から、カナンの女の信仰を認めていたのです。
そして、会話を通して女の「子犬も主人の食卓から落ちるパン屑はいただくのです」とのウイットに富んだ言葉を引き出したのです。
カナンの女の信仰とイエス様の自由な対応は、イスラエルこそ救われるべきだとの考えに固執し、
十戒と律法を絶対視して、イエス様を救い主と認められなかった、硬直したファリサイ派や律法学者と見事に対比されています。
イエス様は、こうあるべきだとか、こうでないといけないというルールに縛られていません。非常に自由に救いの業を行われています。
教会の信仰によって、必死に祈り求める者に顔を背けられ、追い返されることはありえないのです。かならず手を伸ばしてくださいます。