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2020年10月04日A年 年間第27主日 「ミサのメッセージ」
アウグスチノ 川邨 裕明神父
 秋になると、日本中でお祭りが行われます。今年は新型コロナウイルスの影響で、ほとんどのお祭りが中止になってしまいました。寂しいことです。 秋祭りと呼ばれるお祭りは、農作物の収穫をお祝いする行事です。一年間健康で働くことができたことを感謝し、農作物が豊かに実ったことを神様に感謝します。
 神様が太陽の日を注ぎ、雨を降らして作物を成長させてくださいます。人間は額に汗して働きます。 種をまき、水をやり、一生懸命世話をします。祭りは、神様と人間が一緒に働いて得た収穫を一緒に祝うのです。 もちろん、人間がどんなに努力しても、台風や大雨による洪水、さまざまな災害によって実りを失うことはあります。 祭りには、そのような災害に遭わず無事に農作物を収穫できたことへの感謝もあるのです。
 神様は日々、人間に恵みを与え続けています。その恵みによって作物は成長することができます。 人間はその恵みを受けて、汗を流して農作業を根気よく続けます。 作物に決定的なダメージを与える事態とも戦います。 神は、そのように苦労して手に入れた実りを、人間と一緒に味わい、お祝いしたいのです。神様は人間と一緒に、収穫を喜びたいのです。
 ところで、台風や大雨による洪水、様々な自然災害も長い目で見れば収穫に欠かせない要素であります。 台風は、強い風で農作物を根こそぎ倒しますが、一方では大量の雨を降らせ水不足を解消します。 また、台風のかき混ぜ効果と言うのもあります。 たとえばサンゴは25~30度の海水温が生きるのに適当な温度です。 それより高くなると死んでしまいます。そうなると、サンゴに住む魚が減り、それを食べる魚も減ってゆきます。 その結果、生態系のバランスが崩れてしまいます。台風が来て、海の水をかき混ぜると、 海面の暖かな水と深いところにある冷たい水がかき混ぜられ、サンゴにとって良い温度になります。 また洪水も、肥沃な土地を作り出してきました。このように人間にとってマイナスだからと、それを神様からの恵みではないということはできないと思います。 この世界のすべては、神の深い配慮のもとにあるのです。人間がそのすべてを知ることも、コントロールすることもできないのです。 さらに、神さまは、家を造るプロである大工が見捨てた石から家を建てるための親石を作れます。 同じように、宗教的なプロが見捨てた人(イエス様ですが)や事柄(十字架などです)から救いの業を起こすことができるのです。 神のひとり子として、この世に送られてきたイエス自身も、十字架につけられてムダに死んでしまったようですが、その十字架が実は神の救いの業そのものだったのです。 神は、人間が小さなことだと見逃したり、つまらないことだと見捨てたりしたことのなかに、大きな救いの業を忍ばせているのです。 神様はその救いの業の実りを人間と一緒に喜び祝いたいのです。すべては神様からの恵みであることに感謝し、神様と人間が一緒になって喜びあえる世界を作ってゆきましょう。