2020 年 11 月 1 日 A年 諸聖人(祭日)「ミサのメッセージ」
アウグスチノ 川邨 裕明神父
「あの人は聖人だ」というとき、まねができないくらい清らかな人、人徳の高い人物。
あるいは少し変わった人、近寄りがたい人との悪い意味もあるように感じます。
しかしそれは、 カトリック教会の聖人とは少しイメージが違うように思います。
カトリック教会では、イエス・キリストへの信仰のために殺された人々、信仰を守り通し てみんなの模範になった人を、聖人として認めています。
聖人にすることを列聖と言います。 聖人の列に加えるという意味です。
イエス・キリストの福音を具体的に理解するために、福音に従って生きた聖人の姿がその道しるべとなります。
多くの人々が素晴らしいと感じ、社会や教会に大きな影響のあった人物を教会が慎重に調べて、
その人物の生き方が私たちをイ エス・キリストに導いてくれることを判断し、宣言することが列聖です。
聖人と聞いて、誰を思い浮かべますか。有名な聖人もたくさんいます。
日本にキリスト教 を運んできた聖フランシスコ・ザビエルは有名です。
彼の肖像画は、大阪府茨木市の千提寺 というところから発見されました。
キリシタンの子孫の家から出てきました。
フランシスコ・ ザビエルは立派な人物であることは間違いないのですが、人格的に優れた人間かというとそうでもないこともありました。
フランシスコ・ザビエルは怒りっぽかったといいます。今や 死語ですが、瞬間湯沸かし器のような人物だったのです。私も怒りっぽいので、親近感を覚 えます。このように聖人とはいえ、人間的な欠点は持っていたのです。
それでは、どんな人が聖人になるのでしょうか?イエス様は、今日読んだ聖書の個所でこう教えておられます。
「心の貧しい人」「悲しむ人」「柔和な人」「義に飢え渇く人」「義 のために迫害される人」「憐れみ深い人」「心の清い人」です。
神様を深く愛して、神様を 強く探し求めて生きた人が、教会に認められて聖人になるのです。
実は、聖人は天国から私たちのために祈ってくれているのです。
その祈りに支えられて、 私たちもイエス様と一緒に生きてゆくことができるのです。
「諸聖人の日」である11月1日は、私たちのために祈り続けてくださる聖人たちに感謝する日なのです。