2020年11月15日 A年 年間第33主日「ミサのメッセージ」
アウグスチノ 川邨 裕明神父
「使えば使うほど増えるものは何ですか?」と聞かれたら何と答えますか?
私の父はすぐさま買い物の「ポイント」、母は「ゴミ」と「光熱費」と答えました。
答えを聞いて、もっとましなものはないのかと、思わず三人で笑ってしまいました。
東京都足立区の六木小学校で、佐々木校長が子供たちに「使えば使うほど増えるものは何ですか」と出題しました。
子どもたちの答えで多かったのは、①「やさしさ・思いやりの言 葉」41%、②「ゴミ」30%、③「知恵・知識」16%でした。
他にも「あいさつ」や「やる気」、「勇気」というものもありました。
佐々木校長は、子供たちの回答から、「友達に意地悪をしないで親切にすること」、「物を無駄使いしないで大切にすること」、
「基礎的基本的な知識や技能を確実に身に付けること」、「お金は計画的に有効に使うこと」など、
子供たちは大切にしなければならないことがよくわかっていることがわかりますと、子供たちの思考力に改めて感心したと語られました。
今日の福音に出てくる「タレント」という言葉は、本来はギリシアで使われていた貨幣の単位を表す言葉でした。
今日のたとえ話によって、才能や能力という意味で使われるようになりました。
才能や能力とは、何かができることであり、何かをする力が備わっていることです。
ノーベル賞をとることができるような発明をすると、「あの人にはタレントがある」といわれます。
サッカー選手がW杯に出場して、活躍できるのもタレントがあるからです。
ノーベル賞をとったり、W杯に出場したりできなくても、誰にでもタレントはあります。
健康であることもタレント。働くこと、学ぶことができるのもタレントがあるからです。
神様を信じる力、信仰もタレントです。愛することができるのもタレントがあるからです。
どんな人でもタレントをもっています。今日の福音のように、神は私たちにタレントを預けています。
お金は使えば使うほど減っていきますが、タレントは使えば使うほど増えていきます。せっかくもっているタレントも使わなければ何の意味もありません。
今日の福音のテーマは、タレントを使うことの大切さです。使った人はほめられ、使わない人は責められます。
5タレント、2タレント主人から預かった人は、それを使ってもっと多くのタレントを稼ぎました。
1タレント預かった人は使わないで、隠しておいたので主人から怒られました。
お金を土の中に埋めておくということは、当時としてはもっとも安全な保管の仕方で、預かったお金を受け取ってすぐに地面に埋めたものは、
万一盗まれても返さなくてもいいことになっていました。ところが、主人は、この僕を悪い怠惰な僕としてしかります。
せめて銀行に預けるなどして、その1タレントを少しでも増やすべきでした。
イエスはこのたとえを通して、タレントは使えば使うほど増えるのだから、神の国の建設のために自分に与えられたタレントを使いなさいと教えます。
タレントを与えてくださるのも、それを使ったとき増やしてくださるのも神様です。
ところが、私たちは自分に与えられているタレントを、十分に生かさず、自分の中にしまったままにしておくことが多いのではないでしょうか?
失敗することを恐れたり、批判されることを避けたり、自分の事を守るために、タレントを使うことが怖くなると、結局何もしないまま終わってしまいます。
自分に与えられたタレントを使うには、勇気が必要です。勇気もまた使えば増えます。
私たちは神の力に信頼して、勇気を出して自分に与えられたタレントを使っていきましょう。