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『函館トラピスト修道院』
ラファエル 松本武三 神父
 今年も函館トラピスト修道院の門をくぐることができ、感謝。 広々とひらける美しい眺め、スーパーの包装されたにおいのない野菜とちがい、もぎたての完熟トマトやとうもろこしの美味しさ、 日用の糧そのものの祈りに、疲れた体、汚れた心が癒され、清められる思いをいただきました。感謝。
 函館トラピスト修道院は、灯台の聖母修道院の名ですが、船が、灯台の明かりによって導かれるように、 灯台の聖母トラピスト修道院は、心の闇に、光をもたらし、導いてくれる人の心の灯台なのですね。それで 時々訪れ、静かなひと時を過ごすことによって、癒され、元気をいただくのです。
 修道院正面の壁に、聖母に抱かれた少年イエスが、手をひろげ ピースのサインで、迎えてくれています。 何年前だったか忘れたけれど、庭で出会った修道士の方と交した一言が今も忘れられません。「庭の木、大き くなりましたね」と言うと、「主に委ねるものは、みな成長します。」と言って立ち去られた。感動です。
 修道院の休憩室で、修道院の百周年記念誌をパラパラめくっていたら、三木露風の記事を見つけた。知ら なかった。“焼け小焼けの赤とんぼ”と誰もが口ずさむ、露風の“赤とんぼ”の詩が、トラピスト修道院で生 れたことを。三木露風は、明治22年に竜野市で生まれ、昭和39年、東京の三鷹市でタクシーにはねられ、75 歳で亡くなった詩人、童謡作家ですが、大正9年に、トラピスト修道院の修道者に文学を教える講師として 滞在されていた時に、“赤とんぼ”の詩が生れたのです。そして、2年後の大正11年の復活祭に、修道院で洗 礼を受けられ、パウロ三木の名をいただかれたのです。姓が三木なので、この名をいただかれたのかな。
 露風は、多くのトラピスト修道院に関する本を書かれ、また、カトリックに対する教外者への理解に努め られ、教皇からホーリーナイトの称号いただかれています。
 トラピストの日課は、朝3時半の起床に始まり、1日7回の聖堂での祈りを中心に、食事、労働、休息。 そして夜8時に就寝。わたしは、半ば眠った状態での読書課の祈りと寝る前の祈りが一番好き。一日の終わ りの祈りはマリアの賛歌。正面の壁の聖母子像にだけ光が射し、明かりが消えた聖堂の中で、サルベレジナ を捧げる。お告げの鐘が鳴り響く中、院長さんから聖水を注がれ聖堂を後に部屋に戻るのです。涙が出そうです。
 修道者たちは、畑を耕し、ニワトリや牛を飼い、乳を搾り、バターやチーズなどを作って自然とともに暮 らしている。そして、この修道院の囲いの中で生涯生きるのです。そのシンプルな生活から生れる祈りは、 ここに生きるものにしか生れない澄んだ素朴な命の祈り、心に深くしみ入り、訪れる疲れた人の魂を癒して くれます。